メサイア・コンプレックスにはメサイアぶつけんだよ
ALICE/Messiah最終章の感想棚卸し。マーリンの発言を軸に、好きなシーンについて箇条書きでざらざらっと並べていきます。/1700字くらい
🕑 檻に囚われる人と檻を抜けた人
- フッ軽アイン、天才秀才で素直で頑固者、主人公格の推進力
- マーリンが唯一許せている人は赤トラヴァー
- 初めて共感できる相手だったとか? →そうだった
- マーリン、形は整っているのに魂が宿らない工芸品みたいなあれ
- 人を騙す善し悪し云々はさておき、マーリン自身は、生きていくために自分が持っている力を自分のために使っているだけ、という認識かも知れない
- 未来視こそが自分の価値で、見下している凡人どもと同じものを褒められても意味がない みたいな思い、青い
- 否定され続けた1点をこそ認めさせたい意固地な天邪鬼さ
- あるよねそういう時期
- 対等である/ありたい相手にだけ「殿」をつけているのだとしたら、あざとい
- 「自分は特別で、特別を受け入れられない凡人がすべて悪い」と周囲を見下して切り離すくせに、この人ならと縋る気持ちがまだあるのか! というのが見えたり見えなかったりする
- 仮にマーリンよりすごい予言者がみんなに好かれていたら本当にぶっ壊れていたかもしれない、適合者が予知能力をもっていなくてよかった(杞憂)
- 見えない何かに縋る人に、現実を選んだアインをぶつけるのはシンプルに酷
- アインは正しい人なので正しいことを言うし、弱くて自分や他人を傷つけてしまう人にはうまく寄り添えない奴だと感じている
- 改めてコイツ説得とか向いてないな!と思えて好きな会話だった
- よみがえる対アリスキャロルへの呼びかけ
- 何でも一人でできるかも知れないけど、大事なことは話し合ってくれ
- そのための仲間だろ
- というところで友人のダヴィンチが助けに来てくれたの、かなり良かった
🌞 「決して拒絶されない者」
- マーリン曰く
- その最たるものが適合者だと彼に思われてるの、歯ぎしりッ…という思い
- 適合者が(個人的には特に/WARで)拒絶されまくったことを彼は知らない、適合者たちもまた彼の抱える辛さを知らない
- ここのまくし立てるような台詞、鬱陶しくて良い
- 怪物を飼い慣らせない奴にもれなく自己投影してしまってしんどい
⚡ 憎悪と恐怖
- 憎悪で目覚めた女王が恐怖を覚える
- 旧約聖書じみていて眉間に力が入る
🚢 洪水と方舟と人
- ペン…ペン…ペン…ギーン! が好きすぎて出るたびスクショしてしまうな
- 大塚明夫みたいなエエ声でしゃべって欲しい
- オッサンジェルマンの不具合でサンジェルマンが裏声で声をあてた日があったかもしれないし(杞憂)
💬「物語なんて自分と向き合い続けることでしか紡がれないわ」
- 本当にそう ことばにしてくれてありがとう
- カリオストロ自身に大ブーメランなんだよな
- もし分かってて言ってくれたなら、さらに好きになってしまう
- 飛び込みカリオストロの愛情にめちゃめちゃ泣いたところでノストラさん遠泳情報はいらんのよ(かわいいね……)
- チューリング、悲しいけど、今なお少しでも希望を見出そうとする人間であってくれるのは本当にうれしい
- この世界のチュールは、気の触れそうな悲しみを越えて、その悲しさの象徴みたいな、自分を覚えてもいない我が子と向き合って、静かに語りかける強さをもってくれたんやな…と思って、苦しくなる
- 結末ではなく物語=これまでに経験した全て(≓人生)→記憶の肯定 を問うお話のなかで、母を忘れてしまった/忘れさせられた女王はそのスタートにすら立てていない気がして、何となく唸る
- アリスはどんな気持ちでリデルを見たんだろう 想像もつかない
💬「ある日突然…そこの彼と会えなくなる可能性だって世の中にはあるわ」
- ちょっと泣いた メタ認知プレイヤーへの暴力よそれは
- 大丈夫ちゃんとローゼンのこと覚えてるから適合者は、アインも再会の可能性をあきらめないでいてくれ
🌄 東へ
- おお〜いって言いながら海の向こうから飛んでくるユークリッド、癒やしの光景
- 接続の話をもう少しくやしく…………
- マーリンの、自分を愛してくれる人間だけを愛したいというエゴエゴしいエゴイズム、極めて人間らしい痛ましさ
- 隣人愛を覚える隙もなかっただろうに、聡いから隣人愛という概念だけを知ってるのは悲しすぎる
💬「マ゛ーリ゛ン゛…!」
- 限界オタクと化したマーリンズ・ドラゴンだ!
- ワイアット・アープ、あざとい男だ
- いろんな助けが来てくれると、こう、改めて、みんなと出会えて良かった、適合者を諦めないでいて良かったと強く思える、適合者冥利に尽きる
- これが「みんな、愛してるわ!」の心境
- 大好きなキーワードなので何度でも関連に出してしまう
🤞 メサイア・コンプレックスとメサイア
💬「この人生がうまくいかないのは自分のせいじゃない…! 誰かのせいなのだ!!…と」
- 自己紹介じゃないか→ヴォイニッチに言われてた
- 自身のために人を罠にはめていた男がちょっとの仕返しで激昂するの、お前が言うな! という気持ちになるので良くない構成
- この場合の良くないには“とても良いですね for me”が含まれています
- アカデミアになるとすごく強い理論、理解しないまま無敵になったので笑ってしまった
- ノストラさんは悲鳴すらも良い
- ノアからクラウゼヴィッツへの呼びかけ、ノア自身の体験じゃなく、善悪の観念が根付いていないノアが見て聞いて話して感じてきたうえで彼女の選んだ答えとして適合者の肯定があって、おっ ここに…いるな…適合者がよ…! とうれしくなってしまった
- メサイア・コンプレックスにはメサイアぶつけんだよ
- 過去をもつが故に望む結末で過程を覆したいマーリンと、過去をもたないが故に積み上げる過程をこそ大切にしたいノア
- 経験値によって夢を見なくなった大人とそれでも夢を見たい子供
- 「子供に何ができる」と言うマーリンから「自分には何もできなかった(から自分は悪くないし悪いのは世間)」みたいな歪さがチラつく
- Your 認知 is 歪み
- このあたり、サンジェルマンやアグリで「強大な世界と渡り合おうとする子供の存在」
- ヴォイニッチやカリオストロで「人のせいにして投げ出していた過去にもう一度向き合おうとする大人の存在」
- ノストラさんで「ありのままに今を受け入れる中庸な存在」で
- 過去に呪われ今を拒否して未来を思い通りにしようとしたマーリンに対して、歪んだ認知棒を叩いてまっすぐにしよう的なものを感じて、つれえ!と思った
- 正しくないことを正しくないと言われるとチクショー! となりがち
- 信じてもらえなかったから信じないという考え方、すごくさみしい
- クラウゼヴィッツの話を聞いてて悲しくなるのは普通に共感だったのに、哀れみとか言われて突然の立ち入り拒否にヌオーッとなった
- 皆アンタと話したいんだ 同じ高さまで降りてきて Wow wow...(ハンマーソングと痛みの塔/BUMP OF CHICKEN)
- マーリンが孤独と弱さを自覚してるの何度でも辛い
- で、マーリンの認知の歪みに呼応して超ディストーションが生まれたってわけよ
🌟 みんなおかえり!
- いつだって自由なのに、自分で自分の足元を狭めるの大好きだからな 人間
- おかえりマーリン みんな特別だからこそみんな凡庸なこの世界で一緒に生きていこうな
- マーリンを忘れないでいてくれるアーサーがいて本当に良かった
- マーリンを友だと言ってくれるのが、自責の念だけでなく、かつて自身も身内以外信用しない暴れん坊将軍だったアーサー というのがまた味
- アーサーも自分が重なってやるせなかったかもしれないし
- 辛いよな苦しいよな、それでも人間に生まれてしまった以上できるだけ人間としてより良く生きていく道を選び続けなきゃ、抱える重荷はできるだけ分け合うから
- というような旨を言ってくれる人を期待していたんだけど、アーサー、やっぱお前だよな Thank you...
- マーリンがALICEに残ると決めてくれたこと、ヴォイニッチやカリオストロ、ノアが断罪に執着せず次の道を選んでくれたこと、厭らしい傷つけられはほとんど無かったものの「敵対してしまった人と対話できる状態にある」というだけで無限の可能性があって、本当に救いを感じる
- 救いの話だからね
- 希望がモリモリという点では長編で一番好きかも知れない
2021/08/15 なんとなく、うまく伝わっていないかもしれないと思ったので、最後のタタキの部分を削除しました。国語、難しい。